太陽光発電の仕組みを簡単にわかりやすく解説!向いている住宅とは?
投稿日 2022年6月30日 最終更新日 2024年11月25日
2013年より一般家庭への普及が開始した「太陽光発電システム」
普及開始から10年以上経った今でも大人気の発電システムです。
住宅を建てたり、リフォームしたりする際には太陽光発電設備の設置を検討される方も多いのではないでしょうか。
電力使用量の削減(電気代の節約)や停電対策(災害対策)となる太陽光発電システムの導入は、条件さえ合えばぜひ進めたいものです。
今回は、「太陽光発電システム」の仕組みを解説しながら、メリットやデメリットについて説明していきます。
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目次
【図解】そもそも太陽光発電とは?物理的な仕組みや特徴をわかりやすく解説
太陽光発電システムとは、太陽の光エネルギーを電気エネルギーへと変換して活用する機器です。
これは、「”シリコン”に光が当たると、電気が発生する」という仕組みを利用しています。
太陽電池には、プラスの電気を帯びやすい「P型シリコン半導体」とマイナスの電気を帯びやすい「N型シリコン半導体」が張り付いてる構造です。
この2つの半導体の間に光エネルギーが加わることで乾電池と同様の状態となります。
以下、太陽光発電の大まかな流れです。
①太陽光パネル(=太陽電池)で太陽光エネルギーを集め、電気エネルギーへと変換する。(光エネルギーを直流電力へと変換) ②太陽光パネル同士を繋ぐコードを接続箱内で1つにまとめる。(直流電流) ③接続箱からパワーコンディショナへ電気を送る(直流電流を交流電流へと変換) ④パワーコンディショナから分電盤へ電気を送る ⑤分電盤内では、状況に応じて以下の3つの切り替えを行う。 1.住宅内の各設備機器への電力供給 2.蓄電池への充電 3.余剰電気を電力会社へ売電 |
※各用語や機器の説明は後述します。
太陽光発電を行う際に必要な機器
それでは、太陽光発電を行う際に必要になる機器を4つ紹介します。
※上記図内のパワコンは「ハイブリッド型」を想定しています。
単機能型の場合はパワコンと蓄電池の間にもう一台のパワコンが挿入されます。
ソーラーパネル(太陽光パネル)
ソーラーパネルの原材料はシリコンです。
前述したとおり、太陽光発電はシリコンに光があたることで光エネルギーが電気エネルギーへと変換される仕組みを利用します。
皆さんも太陽光発電と言えばパネルを想像するように、太陽光発電設備はパネルがなければそもそも発電ができません。
太陽光発電設備の要であるパネルは強化ガラスでコーティングされており、衝撃やキズ、故障に強く設計されています。
また、パネル同士を繋ぐケーブル等も外の生き物による断線や自然現象による劣化、風化を防止するために太く硬く作られています。
重さ | 大きさ | 発電力 (公称最大出力) | 寿命 | |
パネル1枚 | 12kg~16kgほど | 縦:1.5m~1.7mほど 横:0.8m~1.1mほど 面積:1.4㎡~1.9㎡ほど | 180W~380Wほど | 25~30年ほど |
「公称最大出力」とは1枚の太陽光パネルが発電できる発電力です。
太陽光発電設備は3.0kW以上の「システム容量」が理想です。
(※「システム容量」=太陽光パネルの総数×最大出力値
システム容量は一時間にどれほどの電気を発電することができるのかを表しています。)
また、カタログに記載されている「変換効率」とは面積に対する発電力(公称最大出力)の高さのことを言います。
そのため、「変換効率」の数値が高ければ高いほど、高性能だといえます。
※太陽光パネルの選定時は、屋根への負担や屋根の積載可能面積等を考慮して設定します。
発電量や発電効率について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
また、太陽光パネルの寿命については、以下の記事をご参考いただけます。
太陽光パネルは、セル、モジュール、ストリング、アレイの4つの単位に分けられます。
セル
セルとは、太陽電池の基本単位にして最小単位のことです。
太陽光パネルに約60~72個前後ついています。
一つのセルの発電量は約3W~6W前後です。
モジュール
モジュールとは、皆さんが「太陽光パネル」「ソーラーパネル」と呼んでいるものの正式名称です。
「セル」という太陽電池の集合体のことを言います。
※以下、「太陽光パネル」は「モジュール」と記載します。
ストリング
ストリングとは、モジュール同士を直列で繋いだ回路の単位です。
家庭用太陽光発電の場合:1ストリング=モジュール3~8枚程度 企業が行う太陽光発電所の場合:1ストリング=モジュール10~14枚程度 |
ストリングごとに発電した電気をパワーコンディショナへと送電します。
1つのストリングにつき1本のケーブルが接続箱内のブレーカーへと繋がります。
そのため特定のモジュールが、故障したり陰ったりした場合、発電量に影響するのは1つのモジュールでも設備全体でもなく、属するストリング全体になります。
(※「ブロック」「グループ」と表されることもあります。)
アレイ
アレイとは、ストリング同士を並列で繋いだ回路の単位です。
太陽電池の最大の単位です。
ほとんど「アレイの発電量」=「システム容量」と言えますが、厳密には違います。
積載容量はアレイの発電量を言いますが、パワーコンディショナを介して直流電気から交流電気へと変換する際に、少量ですが失われる電気があるためです。
ストリングのつなぎ方
通常のストリングは以下のようにつなぎます。
しかし、木などの障害物等が影を作ってしまうと以下のように、発電量が低下してしまいます。
影となるエリアを考慮し、以下のようにストリングを繋ぐことも可能です。
上記のように繋ぐことで、影が発生しても、1ストリングのみの発電量が低下で済みます。
接続箱
モジュールで発電した電気は直流であるため、パワコンを通して交流の電気に変換することで住宅設備での利用を可能にします。
しかし上記でご説明した通り、ストリング毎に1本のケーブルが必要になります。
複数のケーブルを直接パワコンへと繋がずに、複数のケーブルを一つにまとめてパワコンにつなぎます。
その役割を担うのが、”接続箱”です。
接続箱の中には、ストリング毎のケーブルをコントロールするためのブレーカーが設置されます。
モジュールに何か問題が起きてもストリング毎にコントロールすることで、全てのモジュールの機能が不全となることを防ぎます。
パワーコンディショナ(パワコン)
住宅内の設備・機器では「交流電気(=AC)」を使っており、家電やドライヤー、充電器はすべて交流電気を利用します。
対して太陽光パネルで発電した電気は「直流電気(=DC)」です。
太陽光パネルで発電した電気はそのまま使うことはできません。
そこで、直流電気を交流電気に変換するための装置が「パワーコンディショナ」です。
重さ | 大きさ | 寿命 | 変換容量 | |
パワコン1台 | 約15kgほど | 縦:50cm 横:30cm 奥行:15cm | 10年~15年ほど | 3kW~5.5kW |
「変換容量」とは、太陽光発電で発電した電気を一度に変換できる容量のことです。
例えば、1枚340W発電できるパネルを15枚積載した場合、システム容量は5.1kWとなります。
パワコンは、「パワコンの変換容量>システム容量」となるように選定すべきなので、
この場合は、5.5kWのパワコンを選びましょう。
変換容量がシステム容量を下回る場合、上回った電気は変換されることなく失われてしまいます。
屋内設置型と屋外設置型があります。
太陽光発電を行う際にあると便利な機器
ここからは、太陽光発電設備に追加設置することで、更に電気代の節約になり、災害時により安心できる機器をご紹介します。
ここでご紹介する蓄電池、発電量モニターは追加設置しなくても太陽光発電システム自体には影響ありません。
あくまで「機能を拡張するための装置」だとお考え下さい。
なお、災害時に役立つ太陽光発電の自立運転機能について知りたい方は以下記事を参考にしてみてください。
蓄電池
蓄電池は、電気を貯めておくことができる機器です。
太陽光発電システムと蓄電池はとても相性がよく、太陽光発電システムの弱点を補う”相棒”とも呼べる機器です。
太陽光発電システムは夜間に発電することができず、モジュールに影ができてしまう時間帯は発電量が減ってしまいます。
蓄電池があることで発電量の多い時間帯に電気を貯め、発電量の少ない時間や発電できない時間帯に放電することで、電力会社の電力供給量を極力減らすことができます。
夜間にかかる電気代や、発電量を超える電力消費をした際にかかる電気代を大きく削減することができます。
発電量モニター
発電量モニターは、発電量、使用電力量、電気料金を可視化するための機器です。
発電量モニターの口コミ
電気の動きが可視化されると、オフグリッドを目標に電気使用量削減への意識がより高まります。
太陽光発電の将来性は?
現在、地球温暖化の加速、資源の枯渇が世界中で重要課題とされています。
脱炭素、持続可能な開発目標(=SDGs)が世界の目標とされている中、今後はより一層「再生可能エネルギー」の価値が上がります。
東京都で新築住宅に太陽光発電設備の設置を義務付けたり、多くの地域で省エネ/再エネ機器の導入に補助金を投じたりと、太陽光発電設備は今後も活躍していくと予想されています。
- ・AIの活用で発電量の予測
- ・スマートインバーターの利用で他機器との連携
- ・次世代型の太陽電池
上記3点に関して、以下のコラムで詳しく説明しています。
太陽光発電システムの活用方法
通常、太陽光で発電した電気はリアルタイムで住宅設備に利用します。
利用しきれず余った電気は、年度毎に決定された固定単価で、管轄の電力会社が買い取ってくれます。この仕組みを固定価格買取制度(FIT)と言います。
売電可能期間(FIT期間)は発電容量10kW未満であれば10年間、10kW以上は20年間です。
FITを利用する場合、以下の3つのスタンスで太陽光発電システムを活用することができます。
- ・全量売電
- ・全量自家消費
- ・余剰電力のみ売電
一つずつ説明します。
全量売電
数年前までは売電単価が高く売電による収入を多く得られましたが、現在は売電単価よりも買電単価の方が高くなっている状況です。
売電単価
10年前の2025年時点では、売電単価が1kWあたり33円だったのに対し、今年2024年の売電単価は16円まで下落しています。
買電単価
反対に、2024年6月時点での買電単価は、電灯プランで27円、電力プラン32円です。
※一般家庭は「電灯プラン」が多いです。
どちらの電力プランでも、売電単価の2倍ほど高いです。
全量自家消費
ここでご紹介する「全量自家消費」は、FIT(固定買取価格制度)を申請しない方法です。
現在は、売電単価が低いため売電せずに発電した電気の全量を自家消費するスタンスの方がお得です。
しかし、日中の電気使用量が少なくシステム容量の方が極端に多い場合は、余ってしまった電力が無駄になってしまいます。
余剰電力のみ売電
現在の状況では「太陽光発電と蓄電池を活用し、それでも余った電気は売電する」という方法を取る方が多くなっています。
太陽光発電のみの場合と、蓄電池を活用する場合の違いを以下を例に説明していきます。
電気使用量 | 発電量 | |
日中 | 4kW | 16kW(システム容量4kW×日照4時間) |
夜間 | 11kW | 0kW |
合計 | 15kW | 16kW |
(※太陽光発電のシステム容量4kW、蓄電池の容量7Kw、日照時間4時間の場合。電灯プラン、売電単価・買電単価は2024年時点を想定。)
太陽光発電のみ
発電した16kWの内、4.0kW分を自家消費し、余剰分の12kWを売電します。
売電額は192円で、電気代は297円(日中:0円/夜間:297円)支出の合計は105円です。
太陽光発電×蓄電池
発電した16kWの内、4kWを自家消費し、7kWを蓄電池に貯め、余剰分の5kWを売電します。
売電額は75円で、電気代は108円(日中:0円/夜間:108円)支出の合計は33円です。
現在、太陽光発電を導入している多くのご家庭では、蓄電池を導入することで可能な限り自家消費をして、電気の購入(買電)を控える方式をとっています。
太陽光発電のメリット・デメリット
ここまで太陽光発電システムの仕組みや、活用方法を説明してきました。
まとめを兼ねてメリットとデメリットについてご紹介します。
メリット | デメリット |
電気代を節約できる | 夜間や影では発電できない |
売電収入を得られる | 悪天候時には発電量が落ちる |
再エネ賦課金の負担が減る | 屋根への負担が増える |
エアコンの利用頻度が減る | 売電単価が下がっている |
発電量/消費量の可視化 | |
環境にやさしい | |
災害対策になる | |
補助金を活用できる |
仕組みや活用方法だけを見れば、魅力に感じる方も多いでしょう。
しかし、太陽光発電システムはどのご家庭にもおすすめできるわけではありません。
おすすめできるご家庭とできないご家庭のはっきりした違いは「設置の向き不向き」です。
以下それぞれご紹介します。
他のメリット、デメリットについて知りたい方は以下の記事から
設置が向いていないご家庭
屋根が北向きの一面のみ
太陽は東から昇り、南側を通り、西へ沈みます。
南側が最も日照時間が多く、北側が最も少ないためです。
北向きでも発電はできますが、発電量に懸念が残ります。
南向きを100%とした場合、各方角の発電効率は以下の割合と言われています。
屋根が小さい
屋根が小さいと、積載できるモジュール数が限られます。
一軒あたりの1日の電気使用量の平均は約14kW、日本全国の日照時間の平均は約5時間です。
単純計算で、最低3kW以上の発電できる容量を積載できなければ物足りないと感じるでしょう。
また、屋根の形や屋根の素材によっても全部または一部に積載できない場合があります。
以下の記事では、設置屋根に関する情報も掲載しています。
近隣に大きな建物がある
大きな建物や植物があると太陽光を遮る可能性があります。
モジュールの設置位置や、ストリングのつなぎ方を工夫することで解消できるケースもあります。
設計・見積りだけでもお気軽にご相談ください。
設置が向いているご家庭
設置が向いていないご家庭以外は、全家庭設置が向いていると言えます。
以下のご家庭は、設置した場合の発電シミュレーションを行う事をおすすめします。
・真南向き屋根で日差しを遮るものがないご家庭
・南西から南東向き屋根で広い屋根をお持ちのご家庭
太陽光発電の仕組みを理解しよう
今回は、太陽光発電がどのような仕組みで発電しているのか、また、太陽光発電をより活用する方法、メリットやデメリットはどのようなものがあるのかをご紹介しました。
株式会社サンフィールドでは、実際に導入を検討されているご自宅にお伺いして、月々の電気代やご家庭のライフスタイルをヒアリングし、ご家庭のニーズに合わせた最適な太陽光発電システムをご提案しています。
各メーカーの豊富な施工実績や、導入後の充実したアフターサービスもあり、太陽光発電システムを長く、安心してお使いいただける体制も整っております。
また、各自治体の補助金の申請手続きなども代行して行っておりますので、少しでも太陽光発電システムの導入にご興味がある方は、ぜひお気軽にお問合せ下さい。
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