蓄電池の寿命は?種類ごとの比較や長持ちさせるためのポイントを紹介
投稿日 2022年7月11日 最終更新日 2024年9月25日
「蓄電池の寿命はどのくらいなの?」
「蓄電池を長持ちさせるためにはどうすればいいの?」
と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
蓄電池を導入、交換するにはある程度のコストがかかるため、長く使用したいと考えている方が多いです。
蓄電池は使用していると経年劣化していきます。
充電できる量が減少したり、部品が劣化したりすることで、蓄電池の利用効率が悪くなってしまいます。
しかし、蓄電池の使い方や選び方次第ではより長い期間使用できるようになります。
それでは、蓄電池を導入する際は、どのような点に注意すればいいのでしょうか?
今回の記事では、蓄電池の寿命や電池の種類ごとの比較、長持ちさせるためのポイントを紹介します。
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目次
蓄電池の寿命は30年?
蓄電池はどのくらいの期間使用できるのでしょうか?
蓄電池の寿命は15年〜20年と言われています。
蓄電池における寿命とは、初期よりも充電量が減っている状態のことです。
蓄電池を長年使用していると、劣化が進んでしまいます。
寿命がきた蓄電池は、使用しているうちに性能が落ちていくので、新しい製品に交換するのが一般的です。
ちなみに、製品やメーカーによって寿命は異なりますが、蓄電池の容量が大きい製品の方が、寿命が長い傾向にあります。
蓄電池の寿命の目安
蓄電池の寿命は30年程度といわれていますが、実際の目安としては15年〜20年ほどのケースが多いです。
繰り返し使用していると初期よりも充電量が少なくなり、この充電量が少なくなっている状態では性能がどんどん落ちていくのは避けられません。
単純に使用するだけなら30年程度は使用できるかもしれませんが、十分な性能を確保するためには新しい製品に交換するのも視野に入れながら考えるのが大切です。
メーカーや製品によって違う
先述したように十分な性能を発揮できるのは15年〜20年ほどとされていますが、実際には導入しているメーカーや製品によって異なります。
各メーカーの技術力や使用している素材が寿命に影響するためです。
ただし、多くのメーカーでは数十年の製品の保証期間が設けていることが一般的です。
蓄電池の耐用年数について
蓄電池の耐用年数について把握するためには、以下の4点について理解しておきましょう。
・耐用年数とは
・法定適用年数とは?
・耐用年数の決め方
・蓄電池の耐用年数
それぞれのポイントについて解説するので、気になる方は参考にしてみてください。
耐用年数とは
耐用年数とは蓄電池を継続的に使用して価値がゼロになるまでの期間を指しており、具体的な年数については種類や容量によって違います。
他にも使用環境や使用条件でも耐用年数は変動するため、定期的に蓄電池の状況について確認しておきましょう。
他にも蓄電池では、耐用年数をサイクル回数と表現するケースも挙げられます。
法定適用年数とは?
法定適用年数は法令で定められている減価償却の耐用年数であり、耐用年数と法定耐用年数では意味が異なります。
確定申告で減価償却は重要な要素になるため、税制上の価値がなくなるまでの期間について理解しておかなければいけません。
減価償却の計算方法は事業主や企業によって定額法・定率法のどちらか選択します。
耐用年数の決め方
耐用年数の決め方についてはそれぞれのメーカーや商品によって違い、長めに使用できるものから比較的短いものまで幅広いです。
一方で法定耐用年数は法律によって画一的な基準が設けられており、蓄電池では法定耐用年数は6年に定められています。
蓄電池の耐用年数
家庭用蓄電池として使われているもので多くの割合を占めているのが、リチウムイオン電池による蓄電池です。
耐用年数は一般的には、15年〜20年程度とされています。
近年では蓄電池の寿命を伸ばせるような研究も進められていますが、蓄電池の寿命は設備環境や使用方法によっても異なるのが一般的です。
また、耐用年数については超えてしまっても問題なく使用できることも多いため、特に異常が見られなければそのまま使用しても問題はありません。
一方で蓄電できる量が少なくなるなどの症状も出始めるので、使用できていても十分な性能を発揮できているかについては確認が大切です。
蓄電池の種類ごとの寿命
蓄電池は種類によって寿命が異なります。ここでは、種類ごとの寿命を確認しましょう。
リチウムイオン蓄電池
リチウムイオン蓄電池とは、正極を複合金属酸化物、負極を炭素としている蓄電池です。
電解質にはリチウム塩が利用されています。
家庭用蓄電池として主流で、他の種類の蓄電池と比較しても家庭に向いているといわれています。
サイクル回数は6,000〜12,000サイクル、寿命は15年〜20年程度です。
リチウムイオン蓄電池はエネルギー密度が高く、高性能という特徴をもちます。
鉛蓄電池
鉛蓄電池とは、正極を二酸化鉛、負極を海綿上の鉛としている蓄電池です。
電解質には希硫酸が利用されています。
鉛蓄電池はサイクル回数で3150回、耐用年数は17年のものもあり、寿命が長いのが特徴的です。
また、大電流にも小電流にも対応する、製造コストが安いなどのメリットをもちます。しかし、重量は重くなる傾向にあります。
NAS電池
NAS電池(ナトリウム・硫黄電池)とは、正極を硫黄、負極をナトリウムとしている蓄電池です。
電解質にはファインセラミックスが利用されています。
NAS電池のサイクル回数は4,500サイクル、寿命は15年程度です。リチウム電池よりは寿命が短いといえます。
エネルギー密度が高いので軽量となっており、安全性が高い点も特徴です。
さらに詳しく蓄電池について知りたい方は下記の記事も参考にしてみてはいかがでしょうか。
蓄電池の寿命が来る仕組み
蓄電池の寿命は、継続して使用することで徐々に短くなる仕組みです。
先述した通り、寿命が短くなるということは、充電できる量が減少することを意味します。
例えば、初期の頃は100%充電できていた蓄電池が、寿命が短くなると80%までしか充電できなくなってしまいます。
つまり、利用効率が悪くなってしまうということです。
なお、蓄電池の寿命は経年劣化のみならず、使い方や周辺環境によっても影響を受けます。
蓄電池の保証年数
蓄電池を販売しているメーカーは、保証年数を設定しています。
大手メーカーが提示している保証年数は10年〜程度です。
この期間内に蓄電容量が規定よりも下回った場合などに無償で交換する、有償で15年間保証するなど、メーカーによって保証内容は異なります。
蓄電池の寿命がきた場合、充電できる最大容量は減少するものの、蓄電池としては依然として機能します。
しかし、部品が故障するトラブルなども起こり得るので、蓄電池を購入する際に保証内容や期間をしっかりと確認することが大切です。
蓄電池の寿命が来るとどうなるのか
蓄電池の寿命が来るとさまざまな状態に陥りますが、以下の3点を把握しておきましょう
・最大容量が減る
・使用できないわけではない
・保証期間内なら交換してもらえる
それぞれについて順に解説します。
最大容量が減る
蓄電池は繰り返し使用していると最大容量が減ってしまうため、導入時と比較してもかなり性能が劣るのは避けられません。
最大容量がどのくらい減少するかについては使い方や周辺環境によって変動しますが、半分以下になるケースも少なくありません。
発揮できる性能が半分以下になっていると十分な電気量を確保できなくなるため、不調を感じた段階で取り換えを検討する必要があります。
使用できないわけではない
蓄電池の寿命が来たとしても使用できないわけではなく、使い方や周辺環境によってはそのまま使用することも可能です。
注意点として、蓄電池はさまざまな精密部品によって組み立てられているため、バッテリーが寿命を迎えていなくても故障する可能性はあります。
また、最大容量がかなり減っている状態では蓄電池としての役割を果たせないので、あくまでも状態次第のケースが多いと言われています。
保証期間内なら交換してもらえる
メーカーや商品によって保証期間が設けられているため、故障した際に条件を満たしていると交換や修理の対応をしてもらえるでしょう。
蓄電池交換についてはサービスに含まれている場合でも、作業費や出張費などの費用が必要になるケースもあり、購入時の契約によります。
具体的な条件や保証範囲については購入時にしっかりと確認しておいて、定期的なメンテナンスや点検時に問題ないか把握しておきましょう。
蓄電池を長く使用するポイント
蓄電池をできるだけ長く使用するにはどうすればいいのでしょうか?
ここでは、蓄電池の寿命を伸ばすポイントを紹介します。
環境を整える
蓄電池を設置する場所や環境に注意を払いましょう。
場所によっては、外部環境の影響を受けやすく、蓄電池の寿命が短くなりやすいためです。
蓄電池を設置する場所は25℃を超えない環境を選びましょう。
蓄電池は高温環境に弱い特徴をもちます。
また、直射日光が当たると高温になりやすいので、日陰を選ぶとよいでしょう。
さらに、燃えやすいものの近くや、ガスが発生する場所、高圧電線の近くなど、避けるべき設置場所もいくつかあるので、メーカーにしっかりと確認してもらいましょう。
過充電や過放電に注意する
蓄電池を利用する場合、過充電や過放電に注意することが大切です。
蓄電池を充電しすぎると、本体の温度が高くなり、劣化の原因となります。
また、蓄電池が空の状態になっていると電圧が降下して寿命が短くなります。
過充電や過放電の状態を避けるためには、あらかじめ家庭で使用する電力をシュミレーションした上で必要な容量の蓄電池を購入するようにしましょう。
太陽光発電と連携する
蓄電池と太陽光発電を同時に利用する場合、蓄電池に対応した太陽光発電と連携する必要があります。
しかし、相性が悪いものを接続してしまうと、蓄電池が劣化してしまう恐れがあるので注意が必要です。
太陽光発電も劣化しやすくなるので、組み合わせを慎重に考えるようにしましょう。
さらに、メーカー保証が無効になってしまう可能性があります。
すでに太陽光発電を導入している方は、利用できる蓄電池の種類をメーカーに確認してみましょう。
必要な容量を算出する
蓄電池を購入する前に、必要な容量を計算することが大切です。
過充電や過放電を避けるためにも、無駄なコストをかけないためにも、適切な容量を選ぶ必要があります。
自宅にあるエアコンや電子レンジ、洗濯機などの消費電力を確認して、それぞれの機器の使用時間を考えます。
消費電力と使用時間がわかれば、電力量を算出することができます。この電力量を参考にして蓄電池の容量を選びましょう。
大きめの容量の蓄電池を選ぶ
容量が少なくないか不安な方は、大きめの容量の蓄電池を選ぶとよいでしょう。
容量がギリギリすぎるものを選ぶと電力を使い切ってしまう可能性があります。
さらに災害などによって停電になった場合も、電力に余裕があれば安心です。
容量によって値段は異なりますが、値段だけではなく、容量とのバランスをみて製品を選びましょう。
ちなみに、 保証期間やサポート内容などもメーカーによって異なるので、値段と容量とあわせて確認することをおすすめします。
なるべく1日1サイクルで使用する
蓄電池の寿命はサイクル数で表すことが多く、蓄電池はサイクル数が増えるごとに、少しずつ劣化していくので、1日1サイクルでの利用を心がけましょう。
充電における「サイクル」とは、充電が0%の状態から100%まで充電し、その100%の状態を0%になるまで利用することを指します。
電気使用量に対して蓄電池の容量が小さいと、1日2サイクルでの利用になってしまうため、家庭の電気使用量よりも容量の大きな蓄電池を選ぶほうがよいでしょう。
保証期間が長いものを購入する
蓄電池の保証期間の長さも選ぶ際のポイントです。
蓄電池というのは10〜20年は使用できると言われています。
そのため、安心して使用するためにも保証期間は最低でも10年以上の製品を選びましょう。
多くの蓄電池メーカーは、10年以上の保証期間を設定していますが、メーカーによって保証期間が異なります。
そのため、購入前に確認しておくことが重要です。
また、同じメーカーであっても、全ての蓄電池が同じ保証期間とは限らないので注意しましょう。
充電方法に注意する
容量を超えた過度な充電や、放電させたままでいることは蓄電池の寿命を縮めることにつながります。
そのため、蓄電池を長持ちさせるために充電方法に注意することが大切です。
リチウムイオン電池は化学反応の影響を受けやすいので、高温多湿の場所に設置すると蓄電池の容量以上に充電してしまうと過充電が起きてしまうことがあります。
蓄電池は日光が直接当たらない場所かつ、25℃を超えない場所に設置するようにしましょう。
蓄電池について理解を深めよう
今回の記事では、蓄電池を購入しようと検討している方に向けて、蓄電池の寿命について解説しました。
蓄電池の寿命は15年〜20年程度といわれていますが、外部環境の影響を受けたり、過充電や過放電が起きたりすることで、寿命が短くなってしまいます。
蓄電池を長持ちさせるためには、自宅に最適な容量の蓄電池を選び、設置する場所を注意するなどして工夫することが大切です。
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