家庭用太陽光パネルの廃棄費用は?廃棄問題や処分できない場合はある?
投稿日 2024年10月15日 最終更新日 2024年10月15日
売電や自家消費ができて経済的効果がとても大きい太陽光発電設備。
今は各自治体の補助金が活用でき、導入にかかるコストは大幅に下がっています。
ただ、形あるものはいつか故障したり、使えなくなったりしてしまいます。
もしも太陽光発電設備が壊れた場合、どう廃棄したらよいのでしょうか。
また、廃棄費用はいくらかかるのでしょうか?
既に導入した方、導入を考えている方にとってはネックになってくる問題だと思います。
今回はそんな太陽光発電の廃棄費用について詳しく解説していきます。
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目次
家庭用太陽光パネルの廃棄費用はどのくらいかかる?費用項目別に解説
太陽光発電設備の廃棄費用はいくつかの項目に分けられます。
ここでは項目ごとに一つずつ説明していきます。
解体/撤去費用
解体・撤去工事にかかる費用の内訳は、
①太陽光パネルと架台(パネルと屋根を固定する部品)の撤去
②基礎の撤去
上記二つに分けられます。
※依頼する解体業者・廃棄業者によって費用のバラツキがあります。
①太陽光パネルと架台の撤去
発電容量1Kwあたり2,300円〜71,400円で、中央値(※)は3,100円です。
(※中央値とは、ある一定のデータを小さいものから並べたときに中央にある値のことです)
②基礎の撤去
家庭用太陽光発電の場合、架台はレールや留め具で補強されているため、基礎がありません。
しかし、野立てや陸屋根で架台がコンクリートで補強されている場合は、基礎の撤去工事が必要です。
項目 | 費用 |
コンクリート基礎 | 1Kwあたり1,600円〜8,300円 中央値は1,900円 |
スクリュー基礎 | 1Kwあたり3,700円〜11,900円 中央値は4,500円 |
整地工事費用
家庭用太陽光発電の場合、住宅解体以外は整地工事が不要です。
しかし、上記同様、野立て設置の場合や架台がコンクリートで補強されている場合は整地工事が必要です。
項目 | 費用 |
コンクリート基礎 | 1Kwあたり1,400円〜5,200円 中央値は2,100円 |
スクリュー基礎 | 1Kwあたり数十円〜2,400円 中央値は200円 |
産廃処理費用
産廃処理には「①収集運搬」「②中間処理」「③最終処分」3つの処理にそれぞれコストがかかります。
①収集運搬
項目 | 費用 |
太陽光パネルの処理 | 1Kwあたり300円〜2,100円 中央値は700円 |
コンクリート瓦礫の処理 | 1Kwあたり700円〜6,000円 中央値は1,800円 |
②中間処理
項目 | 費用 |
太陽光パネルの処理 | 1Kwあたり200円〜36,100円 中央値は1,400円 |
コンクリート瓦礫の処理 | 1Kwあたり800円〜132,500円 中央値は2,000円 |
③最終処分
1Kwあたり200円〜4,900円で、中央値は700円です。
参考:経済産業省 | 太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度について
太陽光パネルは簡単には処分できない?廃棄問題も解説
太陽光パネルは廃棄物処理法上で「産業廃棄物」と分類されています。
産業廃棄物を処理する場合、都道府県等から許可を得た収集運搬や埋立処分を行う業者に委託しなければなりません。
また、該当産業廃棄物の保管・収集運搬・処分にかかる処理基準を順守することが必要です。
ここでは、太陽光パネルの廃棄問題について説明していきます。
一部有害物質を含んでいる
太陽光パネルの主要材料には「シリコン」が用いられています。
製造時・廃棄後にシリコンを溶かす工程がありますが、この時に生じる化学物質は、
オゾン層破壊や人体の呼吸器・皮膚に悪影響を及ぼすと言われています。
加えて、一部の太陽光パネルの材料には、カドミウムやセレン、鉛等の有害物質を含みます。
これらは漏れ出すことで、土壌汚染・水質汚染につながることがあります。
ただ、上記に挙げた物質は、発電機器として適切に利用していれば危険性はありません。
また、使わなくなった際も、適切に廃棄・リサイクルすることで、環境への負荷を最小限に抑えることができます。
ひっ迫により今後最終処理場で処理しきれない可能性がある
太陽光発電は2012年に固定価格買取制度(FIT)が導入されてから、大量のパネルが各地に設置され、
今では国土の平地面積当たりの太陽光パネルの導入率が世界で一番多い国となりました。
しかしそんな背景の裏には、最終処理場のひっ迫が問題視されています。
約25〜30年が寿命といわれている太陽光パネルは、2040〜2045年の間に大量廃棄される見込みで、「年間の産業廃棄物の最終処理量」の約6%が
太陽光パネルで占めるとの試算が出ています。
太陽光パネルをリサイクルできる業者が少ない
太陽光パネルには、アルミや銀などの価格がつきやすい金属が含まれています。
効率的にリサイクルできれば、資源が有効活用され、最終処理場のひっ迫問題も緩和できます。
しかし、以下の要因もあり、まだまだリサイクル可能な業者が少数です。
・太陽光パネルが長寿命でまだリサイクルに回される数が少数であること
・一部のパネルは有害物質を含むこと
・回収やリサイクルにかかるコストが高く、利益が出にくいこと
上記で挙げたように、現時点ではリサイクルしにくいという点が問題視されています。
参考:経済産業省資源エネルギー庁 | 2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題
太陽光パネルの廃棄方法と費用の確認方法は?パターン別の依頼先も解説
太陽光パネルの寿命は25〜30年と言われています。
2012年から普及が始まっているため、設置からの寿命を考えると2040年前後で大量の太陽光パネルが廃棄される見込みです。
産業廃棄物は、排出者に法律上の責任が生じます。
所有者がそのまま排出者になるのではなく、撤去を行う業者が排出者となるケースがほとんどです。
早めに廃棄方法について把握し、撤去費用がいくらかかるのかを知っておくことが大切です。
また、業者によって費用も違ってくる為、撤去工事は複数の業者に見積りを取りましょう。
撤去にかかる費用は、相場があっても地域や設備等の状況によって上下します。
相見積もりをとることで納得して撤去工事を任せることができます。
ここでは太陽光パネルの廃棄方法と依頼先についてパターン別に説明していきます。
太陽光発電の寿命・不具合・故障の場合
製品不良が原因で撤去・交換を行う場合、産業廃棄物の排出者は「メーカー」となります。
それ以外での寿命や不具合、故障に起因する撤去・交換の場合、産業廃棄物の排出者は実際に撤去を行った「撤去工事業者」となります。
住宅の建て替え・リフォーム・解体の場合
住宅を解体する際に太陽光パネルを同時に廃棄する場合も、産業廃棄物の排出者は実際に撤去を行った「撤去工事業者」となります。
自然災害等などの場合
自然災害に起因して利用できなくなった太陽光発電を廃棄する場合は、上記同様、産業廃棄物になるケースと一般廃棄物になるケースの2つに分けられます。
産業廃棄物になるケース
自然災害による衝撃等で太陽光パネルが破損してしまった場合は、故障と同様に扱われます
一般廃棄物になるケース
自然災害により、太陽光パネルが屋根から完全に落下した場合は、一般廃棄物として扱われます。
ひとくちに一般廃棄物と呼んでも地域によって廃棄方法は異なります。
住んでいる地域の廃棄物窓口に廃棄方法について相談しましょう。
※粗大ゴミとは違い、自治体に回収してもらうことはできません。
太陽光パネルはリユースやリサイクルはできるのか?
ここまで、廃棄方法について説明してきましたが、ここからは、”まだ利用可能な太陽光発電設備”のリユースの可能性や今後のリサイクルの展望について解説していきます。
リユース
太陽光発電設備は頑丈に作られているため、家屋の倒壊等で破損しない限り、基本的には故障することはほとんどありません。
そのため、ほとんどの場合、製品寿命での撤去が想定されます。
実際、国内でのリユースに関する情報が不足している背景から、太陽光発電のリユース事業はかなり少数です。
しかし、2024年4月から、オリックス環境株式会社による太陽光発電設備のリユース事業が開始されました。
参考:オリックス | 使用済み太陽光パネルの国内販売・再利用を開始
リサイクル
2030年代後半から見込まれている大量廃棄問題で特に問題視されているのが、埋立処理量です。
この問題は、リサイクル率が高ければ高いほど太陽光パネルの処理にかかるコストが高くなるため、リサイクルに回されづらいことが原因です。
国内各地で、廃棄・リサイクル問題を解決するべく、適正処理に向けた仕組み作りが進められています。
各自治体
回収ルートを整備するために使用済みパネルの量や種類、保管場所の情報をインターネット上で管理し、各業者が円滑に手配できる環境を整備しています。
リサイクル事業
太陽光パネルの製造・販売・検査、リユース・リサイクルを行う株式会社エヌ・ピー・シー(敬称略)は、96.9%のマテリアルリサイクル(物から物への再生方法)を可能とするホットナイフ分離法を生み出しました。
また、この技術の進歩で再度同じ製品に作りなおす事も可能になります。
まとめ
今回の記事では、2030年代後半から問題視されている太陽光パネルの廃棄問題に触れながら、廃棄方法や費用、リサイクル・リユースの今後について説明しました。
太陽光パネルの廃棄問題は未だ深刻な問題ですが、この問題の背景に付随して、2012年から普及が始まった太陽光発電設備の頑丈さや耐久性が証明される形にもなりました。
今後も少しずつリサイクルやリユースのニーズが増え、処理方法の選択肢が広がると見込まれます。
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